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経済成長によって所得が上昇するのに合わせて、人々はより高級な家を手に入れようとした。個人のライフサイクルとしても、就職したばかりで社宅に入れない人は安い木賃アパートに入るが、結婚して子供ができたりすると、戸建て住宅を持ちたい、あるいはマンションを買いたいと考える人がほとんどで、家を借りるという発想は非常に希薄だった。
高度成長期にはこれらのことが重なって起きた。いま住んでいる家を売ったり壊したりしてもいいから、新しくてもっと高級な家に住みたいということが国民全体の志向になっていった。
住宅産業も、できるだけ短いサイクルで家を買い換えさせようという販売戦略をとることで、そうした市場の動向を助長した。各ハウスメーカーが独自の基準による規格大量生産を可能にし、顧客を囲い込んで新しい家を建てきせようとした。
政府もこうした実態を踏まえて住宅政策を景気対策として使った。持ち家促進のためにロ−ン減税をしたが、経済成長で所得が上昇し、税収も増えるという好循環が続いた。
政府の税制も住宅の流通を阻害してきた。住宅の流通には取得税や登録税などの流通税がかかり、売却益に対しても高額の所得税が課せられる。

さらに最大の障害は生前贈与税である。生きているうちに家を次の世代に譲ろうとすると、非常に高額の生前贈与税がかかるため、なかなか譲ることができない。
税制ひとつとっても、政府は既存住宅の流通を阻害してきた。ところが、1990年を境に日本経済のメガトレンドは大きく転換した。
一つは、バブルが崩壊して地価が大幅に下落したことである。地価は今後さらに下落せざるを得ないだろう。
大幅下落後の現在でも、なお日本列島を売ればアメリカが二つ買えるとされる。日本の国土の広さはアメリカの20分の1だから、単価はアメリカの40倍もの水準ということになる。
本来、土地の値段は、一単位当たりどれだけのGDPが生み出されるかによって決まる。すなわち人間の生産活動が土地の価格を決めるわけだから、日本の単価がアメリカの40倍ということは長期的にはあり得ない。
地価が大幅に下落する中で、戦後の経済成長と住宅建設の好循環は完全に崩壊したと言える。もう一つは、賃金が以前のようには上昇しなくなったことである。
賃金や所得は経済成長によって決まるから、賃金上昇率は経済成長率を長期にわたって上回ることも・なければ、下回ることもない。
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